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現場をよく知るK氏は、「本業の旅行業で培ったノウハウとブランドをベースにした、イベントやセールスプロモーション事業を拡大させることが、成功の鍵」と語る。
具体的な事業展開としては、「パーツ(部品)として販売していた旅行の枠を超え、お客様が抱えるさまざまな課題に柔軟に対応できる強い営業マンを育成する」というから、単なる旅行屋ではないビジネス展開が、「JTB法人東京」の真骨頂ともいえる。 独自の教育プログラムの採用やアワード制度の導入「JTB法人東京」の事業の柱にするという教育プログラムや人材の育成とは、具体的にどのようなことかを聞くと、「プロデューサー型営業マン」の育成を目標にしているという。
トータルにプロデュースする力を身につけさせ、クライアントのあらゆる課題に積極的に提案型セールスを実施するというのだ。 そのために、他社の教育プログラムを導入するなど、異業種の風を社内に持ち込む役割も担う。
これらのプログラムを強化させ、強い専門家集団をつくるために行う人材育成のための資本投下は惜しまないと、浅川もK氏も口を揃える。 独自のプログラムに力点を置こうとするその背景には、従来の「ライン志向」の企業風土を払拭したいとする狙いがある。
「キャリアパス制度を導入し、若いころから意識的に目標に向かって仕事に取り組む習慣を身につけさせる」というのだ。 コミュニケーション事業部の野望「JTB法人東京」には、コミュニケーション事業部というセクションがある。

これは、従来の事業領域である旅行業を、行動とコミュニケーションに関わるひとつの統合ビジネスとして進化させるための、特化した専門的、戦略的な部隊だ。 ○三年に、営業本部の外局としてスタートしたこの部署も、年々事業を拡大し、現在はプロフィットセクション(単独でも収益を上げることのできる部署)を設けて再スタートした。
JTBのコア・コンピタンスを活かせるような事業の創造を、現場ベースで取り扱っている点において、後述する本社直轄の事業創造本部(宇宙旅行事業などを手がけた部署)とは異質の使命を担っている。 営業ウーマンも五○人を超えており、女性の管理職登用にも積極的だ。
「彼女らは優秀で、やる気もある」と言われるように、女性の感性を活かした提案型のセールスも順調のようだ。 成果を評価する手法としてアウォード制度(表彰制度)をとり入れるなどして、利益の一部を社員にも還元する。
法人格を有したことで、利益の一部の内部留保も可能になり、以前の営業本部体制ではなかなか出しづらかった報奨も、新たに制度化した。 個人とは別に、チームとしての評価もアウォードの対象になる。
チームでの活動も組織の結びつきを強化させており、組織力で戦える強い集団になることが、めざす理想の企業体である。 例えば、これまでの請負型営業を脱却し、問題解決型営業への転換をめざして、コミュニケーション事業部に在籍するマーケティング・プランニング担当者が営業先へ同行し、一緒に問題解決にあたったり、企画書づくりのノウハウを活かして営業マンの″内助の功″的な役割をしたりもしている。
とはいえ、新体制となってからは「自らも稼ぐ」部隊として、日々、臨戦態勢にある。 旅行外営業の分野を育てるのがミッションで、ビジネス領域拡大のための先兵隊でもあるから、知恵と行動力が必要な仕事である。
自治体やその出資法人で管理運営されてきた美術館や記念館など地域密着の観光文化施設の中には、経営が厳しく、運営手法のあり方や集客に関する取り組みの改善を迫られているところも少なくない。 例えば、柴又帝釈天近くの「寅さん記念館」もその一つだ。
再生を図るため、運営を民間に委託したが、そのうちの一社に選ばれたJTBでは、観光に精通したPRのプロを現地に配置し、地元と一体となって賑わいづくりに取り組んでいる。 こうした「再生ビジネス」も、コミュニケーション事業部の大きな柱になりつつある。

コミュニケーション事業部が設立された背景には、団体需要の低迷がある。 団体旅行の利益率は、粗利益で二○%あれば合格点といわれる。
ところが、職場旅行に代表される観光性需要の低迷と競争激化が災いして、全社平均一七%程度にまで落ち込んだ。 JTBの法人取扱いに占める職場旅行の割合は、一○年前まで約二○%を占めていたのに、一二%にまで低下している。
粗利益率の業界平均はニ・四%だが、業界最大の店舗数と高水準の賃金体系であるJTBでは、経費だけでも甚大な額になるので、この低下は響く。 しかし、IM事業部長は、「日本国内における広告宣伝費の合計は、年間六兆円規模だ。
この存在とあわせてみても、販売促進費比率は増加の傾向にある。 マス媒体に多額の宣伝費を費やしても、果たして販売行動に本当に結びついているのか。
その費用対効果はきちんと計測されているのかを考えたとき、われわれにもビジネスチャンスはある」と気づいたという。 例えば、これら広告宣伝費の投下資本利益率なるもの(広告に支払った額に対する実質的な売上効果回収率)を検証することも、コミュニケーション事業部の役割だ。
クライアントの立場に立った提案型セールスの重要なソースとなるからだ。 また、EC(イベント・コンベンション)の需要をみても、年間二兆円規模と堅調な伸びで推移しており、着目したいビジネス領域だという。
例えば、食品メーカーの広告宣伝費予算を全体で見たとき、通常であれば大手の広告代理店がトータルで販促の受注をする。 メディア広告に始まり、サンプリングや商品発表会、懸賞旅行などが含まれる。
しかし、広告代理店にはライセンスがないので旅行手配はできないから、「懸賞部分の旅行企画だけはJTBに」というピンポイント発注になる。 しかし旅行手配だけではうまみがない。

これまでは、「BmB」ビジネスが主体だったJTBの法人営業も、大手広告代理店のよ自分の問題は自分で解決するホールディング化の実施で各社が一斉スタートを切り、新たな職場にも慣れた○六年六月に、社長のS氏は、JTBグループ全社員へ向け、「二つの感謝」を述べた。 それは、JTBの大株主であるJR三社(JR東日本、東海、西日本)を訪問したときのエピソードから始まった。
「われわれJRのように、大きな公共サービスを担う会社の社長からみれば、エージェントの、うに「BmBmC」のビジネスを展開できるよう意識して攻勢をかける。 特にクライアントが欲している「C(カスタマー)」の部分で、旅行会社の強みを活かし、事業領域を確立することが急務だという。
番組枠を持つ大手広告代理店と肩を並べるのは困難かもしれないが、こうしたビジネス展開をできるこの「コミュニケーション事業部」こそJTBマンの「野心」を象徴している部署ということができよう。 新生JTBで「よきDNA」の継承をしかもJTBという大企業の社長であるS氏さんが、なぜ、それほどまでに大きな危機感を持って、事に当たっているのか本意が分からない」としたうえで、「しかし、組合員一万人を超える大企業が、これだけの大変革を、わずかの短い期間に労使をあげて決断し、実行したということ。

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